紙に印刷された情報をエクセルに取り込みたい場合、どうするといいでしょうか。Office365の新機能を使えば、紙や画像からかんたんにデータを取り込めます。覚えて得する方法を解説します。
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エクセルにはさまざまなバージョンがあり,それにより機能や操作,画面表示が異なることがあります。この記事の内容は,執筆時点での参考情報としてご紹介しており,変更されたり新機能が加わったりすることがあります。詳しい情報は,Microsoft公式サイトからご確認ください。
Office365の新機能「画像から」を使う

「データ」タブの「データの取得と変換」にある「画像から」を使います。
「画像から」の機能を使うと、画像ファイル(jpgなど)をエクセルにインポートできます。選択肢として、次の2つがあります。
ファイルからの画像
ローカル(PC)に保存された画像ファイルから取り込みたい場合です。
クリップボードからの画像
ビューワーやWebサイトなどから、クリップボードにコピーされた画像を取り込む場合です。
では、具体的な例で説明します。
印刷された紙から取り込む

このような紙ベースのデータをエクセルに起こしてほしいと言われたとします。もちろん、手打ちで作り直すのは面倒です。どうするといいでしょうか。
「ファイルからの画像」機能を使って取り込む方法を解説します。
画像データにしてファイルを保存する
印刷された紙ベースのデータなら、写真を撮るかスキャンして画像データにします。ファイルをコンピュータに保存しておきましょう。

取り込みたいデータのみが含まれていればOKです。上の画像のように、必要な部分だけトリミングしておくと良いでしょう。
ファイルを選択して挿入する

エクセルで新しいブックを開き、データ > データの取得と変換の「画像から」 > 「ファイルからの画像」を選択します。

エクスプローラーから、該当するファイルを選択し、「挿入」をクリックします。

開いているブックの右側に、取り込みの進行状況が表示されます。しばらく待ちましょう。

データが取り込まれ「画像からのデータ」が表示されます。少し見にくいので、境界線を左にずらして大きく表示させましょう。

プレビューで上に画像が、下に取り込んだデータが表示されています。取り込んだデータが正しいかどうか、上下で視覚的に確認できるということです。
取り込まれたデータは、完璧なものではありません。ここで簡易編集をするために、「確認」をクリックしましょう。
簡易編集する
ピンクで表示されている部分は、エクセル自身が取り込みの精度が低いと判断したセルです。

「確認」をクリックすると、確認が必要なアイテム数と編集ウィンドウが表示されます。今回は「10個のアイテム(セル)の確認」が必要でした。
画像を確認しながら修正していきます。基本的には、ピンク色の部分に正しいデータを入力します。間違っていれば修正します。上の画像では、本来1つのセルが2つに分かれてしまっています。

この場合は、ピンクで表示された右側のセルのデータは消して、左側のセルに正しいデータ(8,997,002)を入れておきます。修正後、「同意する」をクリックします。
次のアイテムに移動していきますので、上の画像を確認しながら正しいデータを入力しましょう。

本来「渡辺」のところが「ン又辺」になってしまっています。「吉田」のところは何も入っていません。適宜修正しましょう。すべてのアイテムの確認が終わると「確認が必要なアイテムはありません」と表示されます。これで簡易編集は終了です。
すべてのアイテムを「確認」しなくても、エクセルに「データを挿入」できます。あまりにもアイテム数が多かったり、エクセル上で一括編集できそうなものはそのままにすることもできます。

次に「データを挿入」をクリックしてください。

「すべてのデータの正確性を検証する責任があります」という表示が出ます。”あくまで簡易編集をしただけなので、データを挿入後に自分で正確性を検証してくださいね!”ということです。ファクトチェックは自己責任で行う必要があります。
ここでも「データを挿入」をクリックします。
エクセル上での確認と編集

開いておいたブックに、データが取り込まれました。ご覧の通り、確認と編集が必要です。

ぱっと見ただけでも、赤囲み部分は編集が必要ですね。数字の1や0が、アルファベットのI(アイ)やO(オー)になっていますね。C列、G列は不要ですね。金額の表示もおかしくなっています。エクセル上で元データに合わせて整えていきましょう。

「売上目標」や「売上実績」の部分ですが、カンマ区切りの前に半角スペースが入ってしまっています。そのため、エクセルでは数値ではなく文字列と判別し、左寄せで表示されていますね。
これは、かんたんに一括で編集できます。

文字列として判別された金額部分のセルを全選択し、ショートカットキー「Ctrl + H」で「検索と置換」を表示させます。「置換」タブ内の「検索する文字列」の部分に、半角スペースを入力します。単純に半角スペースを削除したいので、「置換後の文字列」の部分は何も入れません。「すべて置換」をクリックしましょう。

一括で半角スペースを削除し、数値に変更できました。セル内の位置も、右寄せになっていますね!あとは、表の体裁を整えます。列幅や配置、フォントなどを紙のデータに合わせていきます。
こんなふうにして、紙ベースのデータをエクセルに取り込むことができました。若干、編集の手間はかかりますが、一から直打ちすることを考えたら格段に速いですね。
クリップボードにコピーして取り込む
ここからは、「クリップボードからの画像」機能を使って取り込む方法です。

取り込みたいデータが含まれた画像ファイルを、Windowsの標準ビューアーで表示しています。
画像ファイルをクリップボードにコピーする
ビューアーやWebサイトから取り込みたいデータをキャプチャして、クリップボードにコピーします。方法はかんたんです。次のショートカットキーを使います。
Shift+Windows+S

ビューアーで画像ファイルを表示した状態で、Shift + Windows + S を押します。

画像のように、編集メニューバーが表示されます。そのまま、左クリックしながら範囲選択してみてください。

選択後に左クリックを離すと、クリップボードにコピーされます。

Windows10であれば「切り取り&スケッチ」機能で、「切り取り領域をクリップボードに保存しました」というポップアップがでます。これで、選択した部分の画像がクリップボードにコピーできました。Windows11ではポップアップは出ませんが、クリップボードにコピーされています。Winキー + V で確認できます。
コピーした画像をエクセルに挿入する

エクセルで新しいブックを開き、データ > データの取得と変換の「画像から」 > 「クリップボードからの画像」を選択します。

あとは「ファイルからの画像」機能の時と同じです。左側に上下に分かれて、画像と取り込みデータが表示されます。
簡易編集 → エクセルで確認と編集
「確認」をクリックして簡易編集、その後「データを挿入」をクリックして、エクセル上で確認と編集を行います。
今回は、ビューアーからキャプチャをクリップボードにコピーしましたが、Webサイト上のテーブルなどを取り込みたい場合も、同じ方法でできます。Shift + Windows + S でクリップボードにコピーしてエクセルに取り込めますよ。
Microsoftのサポートページ「画像からデータを挿入する」でも、この方法が紹介されていました。50秒の解説動画もあるので参考にできます。
まとめ
いかがでしたか。今回は、印刷された紙や画像からデータをエクセルに取り込む方法でした。
昔の紙ベースのデータをエクセルに起こしてほしい!と言われた時でも、Office365の新機能「画像から」を使うとかなり効率化できますね。
この記事が、少しでも皆様のお役に立つことを願っています。では、次回もお楽しみに!