今回はマーケティング戦略の一つとして,顧客をよく理解し,積極的にマーケティング戦略を展開することについてまとめたいと思います。
もちろん,この考え方をWebサイトを作成する際にも活用することができます。
顧客を理解するということ
先にも考えたように,マーケティングとは「売れないものを,売れるようにすること」としました。
つまり,自社のホームページを作成する際にも,この考え方を導入し,「そもそも,皆に知られていないサービスを,どうしたら知ってもらえるか」
「多くの人が関心をもっていない自社製品に,どうしたら関心をもってもらえるか」という観点でマーケティング方法を考え,Webサイトを構築することができます。
そのためには,やはり「顧客を理解すること」が必要です。
先回の記事では,マーケティングを行なう際には,お客様目線で考える必要があることについても取り上げました。
では,この「お客様目線」で販売するというのは,「顧客の要望を単に聞き,その要望に沿って商品やサービスを提供する」ということなのでしょうか?
確かに顧客の要望や意見に耳を傾けることは重要です。 しかし,成功しているビジネスケースの多くは,単に顧客の要望に応えることではなく,「顧客の潜在的なニーズを掘り起こすこと」の重要性を強調しています。
顧客の潜在的ニーズを掘り起こすこと
先に取り上げたように,顧客の要望に耳を傾けるというのは重要です。 しかし,顧客のニーズの多くは「潜在的なもの」つまり,表面化しておらず,顧客自身も気づいていない分野であることがあります。
なぜなら,通常顧客の多くにとって「現状」が当たり前であり,今の状態が普通であると感じる傾向にあるからです。
しかし,同じような競合他社が,あなたの会社よりも優れたサービスや商品を生み出すと,顧客にとっては「比較」することが可能となるため,顧客はその優れたほうの製品を購入しようとし,劣ったほうのサービスに対して要望やクレームを行なうようになります。
そのようなわけで,顧客の要望やクレームに応じて商品やサービスを開発しているようでは,到底競合他社に太刀打ちすることはできず,それでは遅すぎるのです。
その要望に応えて商品を開発したところで,すでに,他社が同じようなサービスをずっと前に始めているということがすくなくありません。
そのようなわけで,商品やサービスの提供を考慮する際には,顧客の潜在的なニーズを掘り起こすことが重要です。
Amazonの行なったビジネスモデル
この潜在的な顧客のニーズを掘り起こし提供するビジネスモデルにおいて,お手本ともいうべきものがAmazonです。
Amazonの提供しているサービスは今では,知らない人はいないほどの規模になっており、その利便性や顧客の満足度は非常に高いものがあります。
しかし,Amazonのサービスを始まりは,非常に小さなものでした。
ではどのようにAmazonは顧客の潜在的なニーズを発掘したのでしょうか?
Amazonは,本を捜し,購入してから読み終わり,次の本を探すまでの顧客の判断や行動を時系列で分析するところから始めました。
顧客の行動は時系列で以下のようになります。
出かける
→書店を選ぶ
→書店で本を探す
→購入する
→家に本を持ち帰る
→読む
→感想を述べたい
→次の本を探す
Amazonというサービスが始まるまで,本を読むこのプロセスに疑問を感じる人はおらず,多少面倒と感じることがあっても,書店に出かけて本を買うのが当たり前だと思っていました。それで,顧客のニーズは表面化していませんでした。
しかしAmazonはこれらのプロセスには顧客の「潜在的なニーズ」が存在することに気づきました。
それは以下のようなものです。潜在的なニーズを赤字で記します。
出かける(時間がない。めんどくさい。好きな時間に開いていない)
→書店を選ぶ(よい書店が近くにない)
→書店で本を探す(ほしい本がすぐに見つからない)
→購入する(値段が高い)
→家に本を持ち帰る(重たい。面倒)
→読む
→感想を述べたい(感想を伝える相手がいない)
→次の本を探す(自分でどんな本が売っているか、どこに売っているか調べなければならない)
今Amazonのサービスが自由に使えるわたしたちにとって,なんてこともない,不便な点なのですが,Amazonはこれらのニーズを見出し,それを解決する方法をユーザーに提供することによって爆発的に利用者を増加させました。Amazonが提供した解決策は皆さんも知っておられる通り以下のものです。 青地で書きます。
出かける(時間がない。めんどくさい。好きな時間に開いていない)=ネットショップでいつでも利用可能、パソコンさえあればどこでも利用可能。
→書店を選ぶ(よい書店が近くにない)=膨大な数の書籍から好きな本を購入可能
→書店で本を探す(ほしい本がすぐに見つからない)=キーワード検索,売れ行きなどの表示により希望の書籍にすぐにたどり着ける
→購入する(値段が高い)=基本的に書店よりも安い
→家に本を持ち帰る(重たい。面倒)=郵送でお届け。場合によっては送料無料
→読む
→感想を述べたい(感想を伝える相手がいない)=商品や出品者を評価することができ自由に感想を書き込める
→次の本を探す(自分でどんな本が売っているか、どこに売っているか調べなければならない)=関連したおすすめの本をすぐに提案,すぐに購入可能
このように,Amazonは顧客の行動や判断を分析し,潜在的なニーズを引き出し,それをほぼ完ぺきな形で解決する方法を提案しました。
これまでに取り上げた方法は,新たな商品やサービスを計画立案する段階から,考慮できることです。
しかし,今Webサイトを作っていこうとしている,あるいは作ることを検討している皆さんは,すでにその対象となる商品やサービスが出来上がっており,それを今更変更することはできないかもしれません。
では,上記のマーケティング手法をどのようにWebサイト作成の際に生かすことができるでしょうか。
Amazonのマーケティング手法をWebサイト制作に役立てる
1.お客様目線でのWebサイト構築を心がける
これは先の記事でも解説したように,生産者やサービス提供者の考える商品やサービスの特徴ではなく,顧客が欲しいと思っている情報を強調するということです。
2.既存の製品やサービスの問題点を取り上げ,新しい製品の必要性を強調する
もし顧客が現在提供されている商品やサービスに満足してしまっているとするなら,新たな商品やサービスを購入する必要性を顧客は感じることができず,結果として,その商品は売れないということになってしまいます。
それで,顧客に対してその商品の「必要性」を強調する必要があります。
3.潜在的なニーズを強調し気づかせる
この点が特にAmazonのマーケティング手法を生かせる点です。
2番目の項目にあるように,顧客に対してその「必要性」を強調するわけですが,ここで取り上げるのは,顧客の多くがすでに感じているような点ではありません。
むしろ,顧客がこれまでは当たり前だと思ってきたものの,「そういわれれば面倒だな」とか「そういわれればこんなサービスがあったらいいのに」など,これまで気づかなかった潜在的なニーズを取り上げ,それを列挙することにあります。
4.商品やサービスが,そのような潜在的なニーズにピッタリマッチすることを強調する
そして,あなたの会社の商品やサービスが,まさに顧客の感じる潜在的なニーズにピッタリマッチすることを強調出来れば,そのマーケティング戦略は効果を発揮していると言えます。
まとめ
もちろん,あなたのWebサイトを見たすべての人が,その商品やサービスを実際に購入するようになるということは現実的にありません。
しかし,このようなマーケティング戦略をWebサイトを作成する際にも活用することによって,Webサイトは顧客に対して一層効果的なものになります。
皆さんのWebサイト作成にお役に立てば幸いです。